透析室便り(南千住病院 透析室)
愛和会では,南千住病院・愛和クリニック・熊の前腎クリニックの3施設合わせて,350人の方が透析治療を受けられています。ほとんどの方が外来通院されております。私たちは,
“患者さんには愛を,職場には和を”という愛和会の理念のもと,家庭的な雰囲気の中で安全に透析医療を受けて頂ける様スタッフ一丸となって頑張っています。一口に透析医療といってもいったいどんな治療なのかわからない方が多いと思います。今号から透析治療に関係する事柄について,質問形式で簡単に説明したいと思います。この掲載により,少しでも皆様の疑問解決にお役に立てればと考えております。
Q1. 腎不全ってどんな病気?
A. 腎臓の働きが正常の30%以下になった状態で以下のような様々な症状が見られます。
@だるい A手足がむくむ B動くと息切れ,動悸がする C尿の量が減る,尿臭がする D夜中に何度もトイレに起きる E手足がつる F血圧が高くなる G体がかゆい H食欲がおち,胃がむかむかする I目が見えにくい J性欲減退
次回は腎不全の原因についてお話します。
(2号より)
Q2. 腎不全にはどうしてなるの?原因は?
A. 原因となる主な疾患には,糖尿病や慢性糸球体腎炎等があります。検診等で,蛋白尿・高血圧・糖尿病等を指摘されたら早めに受診しましょう。
腎不全の原因となる疾患 原因として占める割合
糖尿病性腎症 38.1%
慢性糸球体腎炎 32.4%
腎硬化症 7.6%
多発性嚢胞腎 2.3%
慢性腎盂腎炎 1.1%
Q3. 腎不全は治らないの?
A. 急性腎不全は急激に腎機能が悪化する状態で,適切な治療によっては治ることがあります。
慢性腎不全は,数年から十数年以上の長い経過で,徐々に進行し腎不全になった状態で,残念ながら治りません。多少の水分や食事などの制限はありますが,仕事を続けながら透析治療を受けられている方も沢山おられます。
(3号より)
Q4. 治療法は?
A 人工血液透析・腹膜透析・腎移植があります。
Q5. 透析ってなあに?
A 腎不全になり腎臓がほとんど働かなくなった時に行われる治療方法です。腎臓は,体外で人工腎臓(ダイアライザー)を使って血液中に溜まった老廃物を取り除き,水分や電解質のバランスを整え,きれいになった血液を再び体内に戻す事をいいます。通常は4時間行います。
Q6. どれくらいの人が透析しているの?
A 平成14年12月31日の時点では,全国で約23万人の患者さんがおられます。毎年約1万人ずつ増えています。
(4号より)
前回までQ&Aでお話させて戴いた様に,多くの腎不全患者の方々が透析治療を受けております。週2〜3回で約4時間の透析治療は,心身共に大きな負担がかかると考えられます。私たち透析スタッフは,少しでも患者様の苦痛を和らげ,透析生活を支援していこうと実践してまいります。また,今後も透析室便りを通して,腎不全治療である血液透析情報をお話させて頂けたら幸いです。さらに4時間透析の間,快適に経過していただけますように,ベッド1台づつにテレビを設置して御座います。
次回は,サテライトの愛和クリニックを御紹介致します。続いて熊の前腎クリニックも御紹介させて頂きます。
(5号より)
愛和クリニック
愛和クリニックは,現在81名の患者様がいます。6月1日から火木土の夜間がなくなりました。お蔭様で患者様の協力を得て,特に問題なく経過しております。維持透析の患者様は,社会とのつながりの中で生活しています。だからこそ不安や不満を少なくし,快適な時間を過ごしていただきたいと思ってスタッフ一同努力しております。クリニックの特性は,患者様の声にすぐに反応し,対処できる事ではないかと思います。そのために,日頃からコミュニケーションを重点におき,表情や態度から患者様の声にならない声を瞬時に感じ取る事が大切だと考えています。日々の業務に流されるのではなく毎日を新鮮に感じ,患者様との出会いが意味のあるものだと納得できれば,1回1回の透析がとても大切に思えます。これからも,ここに来ると安心すると言って頂ける施設を目指しスタッフ一同頑張って行きたいと思っております。
(6号より)
熊の前腎クリニック
私たち熊の前腎クリニックは,愛和会2番目の透析サテライト施設として平成14年4月に開院しました。透析治療は総合的なケアーが大切とされております。また地域に密着した医療を展開する上でも,各医療機関との連携は大切な要素となっています。
当院では,来院日以外での体調変化に対する診察や入院に随時対応できるようにと,基幹病院である南千住病院のバックアップ体制を保持しております。
また,急な用件での臨時透析や時間変更にも対応できるように月・水・金曜日については午前8時30分の開始から午後13時30分の開始と時間差での透析開始システムをとっております。最後に,維持透析での出会いが私達との出会いであると考えております。今後の治療を継続して行く上で,少しでも気持ちが和み痛みの緩和できる事を願い,スタッフ一同が最高の笑顔で迎えています。これからも,利用者の方の癒しの場として認めてもらえるようにがんばって行きたいと思います。
(7号より)
腎不全とは
腎蔵は体にとって必要なものを取り込み,いらないものを尿として捨てています。その働きとして8つあります。
以上の8つの働きが,正常の30%以下に低下した状態を腎不全と言います。腎不全には急性と慢性があります。急性は適切な治療によって,大部分回復しますが,慢性はいったんなると回復不可能になります。慢性腎不全で腎機能の低下が正常の10%以下になると透析療法の適応になるのです。
(8号より)
平成17年1月31日より,透析室も電子カルテが全面稼動となりました。当院にて維持透析中の患者様の情報は,全て電子カルテにより管理されております。電子カルテ導入前は,患者様個々の診療記録や膨大な検査データ等全て書類上で処理されておりました。そのため,過去の診療記録や検査データを見付け出す事が一仕事とされておりました。
現在は,各患者様の情報をすべてPC上で確認できるシステムになっております。電子カルテ導入により,得られた時間を各患者様へのサービスへと向けられるよう努力して行きたいと考えております。
(9号より)
今号の原稿を書かせて頂く前に,透析治療を行っていない患者様より,こんな質問を受けた事がありました。「透析室での治療は長い時間ベッドに寝かされ,機械に繋がれて大変なんでしょう?」そんな疑問に答えるべく今号では,透析室においての治療の様子を簡単にご説明させて頂きます。
透析治療は,ほとんどの患者様が,週3回・一回の治療に要する時間は4時間です。
治療時間は,4時間を要しますがその間ずっとベッドで寝て過ごされるわけではありません。当院では,治療中にTV観賞ができるよう,各ベッドに小型の液晶TVを配置しイヤホンを使用して自由に観て頂けるようになっております。また,治療中に食事を摂って頂く事も可能です。ご希望の患者様へは当院栄養課にて透析患者様に合ったお弁当を提供させて頂いております。その他,読書等のベッド上で行える趣味をされている患者様もいらっしゃいます。
今後も,私達スタッフは,患者様一人一人が,4時間という治療時間を快適に,楽しくお過ごしていただけるよう努力させて頂きたいと考えております。ご不明な点・ご要望がありましたら透析室スタッフまでお気軽に御声掛け下さい。
(10号より)
透析とは?腎不全が進行すると食事療法だけでは尿毒症の症状がコントロールできなくなります。腎臓の働きが5%以下位になると、透析療法が必要になります。これは主に、1)老廃物を取り除く。2)過剰な水分や塩分、カリウム、リンなどを取り除く。3)酸性に傾いた血液を中性に戻す。血液透析は,血液と透析液とを透析膜を介して間接的に接触させ,拡散,浸透と限外濾過により物質交換や溶質除去を行うことです。拡散とは,分子量の小さい物質が,濃度の高い方から低い方へ移動することをいいます。また浸透とは,溶液内の溶媒である水が,溶質濃度の低い方から高い方に移動することをいい,その差がなくなるまで移動し続けます。限外濾過は透析膜に圧力差を与える事で除水できます。これらはあくまでも腎臓の働きを補助するもので、自己管理が必要です。
図 透析により交換される物質
(11号より)
血液の浄化,水分の除去を行う腎臓にあたる装置がダイアライザー(透析器)です。以前は金属の板の間にセロファンを何層にも張った積層型(キール型),セロファンのチューブを支持体と一緒に円筒形に巻いたコイル型(コルフ型)が主流でしたが性能,安全性に劣っており現在では効率,安全性に優れたホローファイバー型の透析器が主に使用されています。装置の中身は直径0.2mmくらいの細い管を数千本束ねたものでプラスチック製の円筒型のケースに収められています。毛細管の膜には目に見えないごく小さな穴が開いており管の中を流れる血液に含まれる老廃物と余分な水分は毛細管の膜を通過して管の外側を流れる透析液中に押出され廃棄されます。膜の穴は赤血球,白血球,細菌,ウイルス等は通過できず老廃物や水分等は通過できるサイズになっています。現在市販されている透析器はセルロース膜(セロファン紙に似た植物性の材質)と合成膜(化学合成で作られています)の二つに分けられ,それぞれに短所と長所があり患者さんの状態によって使い分けています。殺菌方法も初期のホルマリン滅菌から毒性の少ないガス滅菌,現在はアレルギー反応を起こすことのない高圧蒸気滅菌やガンマー線滅菌が採用されより安全な透析器へと改良されています。
(12号より)
透析液について
1回の治療(4時間)で,約120L使用する透析液について説明します。
透析液の成分は主に,ナトリウム,カリウム,カルシウム,ブドウ糖,重炭酸ナトリウムでできており,水道水から逆浸透圧装置により,精製水(不純物の無い水)を作り,透析液の成分を凝縮した粉末又は溶液を合わせて,透析液となります。
このようにしてできた透析液は,1分間に500mlでダイアライザーに流れ続け,拡散の原理により,血液中の毒素を取り除いています。近年,ダイアライザーの性能が上がったことにより,透析液中のエンドトキシンと言われる,細菌の死骸が問題になっています。
エンドトキシンは,血液中に入ると,炎症反応を起こし,様々な問題の原因になると言われております。この,エンドトキシンを低減する為に,愛和会では,フィルターによる除去や,細菌を増やさないように,日々の消毒や逆浸透圧装置の定期的な洗浄など様々な手段による努力をしており,その結果,透析液中のエンドトキシン値は,他の透析病院に比べても胸を張れる値になっています。このように,透析液は,多くの過程や管理により安全に,供給されております。
(13号より)
前回の透析室便りに出てきた透析液に使う水の話です。
透析液の原末又は原液を溶解,希釈する水は水道水をそのまま使用することは出来ません。水道水の中にはアルミニュームなどの重金属類,消毒用の次亜塩素酸(塩素),トリハロメタンや目に見えない汚濁物などが混入しています。その為使用する前に水処理装置を通し精製水にしなければなりません。当院では最初に25ミクロンと5ミクロンの2種類のフィルターで細かい塵を取り除き,次に活性炭を通してさらに塩素や不純物を吸着します。次の軟水装置(イオン交換樹脂)ではカルシウムなどの一般的に電解質と言われる物質を除去します。これで下処理完了です。最後に逆浸透膜というものを通します。この装置で処理した水は近年スーパーマーケットなどでもピュア・ウオーター云々の名前で提供されているのでお聞きになった方も多いと思います。透析などで使用する透析膜の使用方法と異なり原水側に圧力をかけて純粋な水分のみ濾過させます。精製された水は紫外線滅菌灯を通し透析液供給装置に送られます。体内に入ることのない透析液用の水ですが長期にわたる透析への安全性を考慮し最高の状態にしております。
(14号より)
今回のテーマは“災害対策”です。
透析治療には電気と水が絶対不可欠です。
ライフラインを遮断する災害は日常生活のみならず,透析治療にとって最大なる脅威です。
愛和会では,透析患者勉強会および職員勉強会,院内研究発表会,職員用・患者様用マニュアル作成,災害時職員カード・災害時透析患者カード作成ならび掲示物などにより災害対策を啓蒙しております。
目を通されていますか?また,理解できない事はありませんか?
いつ起きるかわからないのが災害です。
常日頃から意識を持って,非常時に備える心構えが大切です。
少しでも不明点などがある方は遠慮なく,スタッフまで質問してください。
(16号より)
臨床工学技士とは…?
現在,愛和会では臨床工学技士が総勢10名働いています。臨床工学技士の国家資格が公布されたのが,昭和62年6月2日,翌年63年4月1日施行,この年の11月に第1回目の国家試験が開始され,今年で20回目を迎えています。医療分野ではまだ歴史が浅い資格ですし,名称を聞いても臨床検査技師と間違える患者様もいます。仕事内容も看護師と一緒じゃないか?と考えられている方もいらっしゃると思われます。看護師のサポートもします。しかし,透析室内だけでも,大小医療機器がたくさんあります。私たちは日々使用している医療機器の専門医療職です。又,知識,技術向上の為,毎年,学会や研究会などにも参加し,新しい情報等も入手しています。透析以外の業務は呼吸療法,人工心肺,高気圧療法,手術室,心臓カテーテル検査室などもあります。又,大学病院,総合病院では臨床工学技士部を設け,それぞれの治療科に配属しているところが,多くなってきています。
(17号より)
臨床工学士の業務とは?
臨床工学士の主な業務は医療機器を扱う仕事です,具体的にあげますと
と多岐にわたっております。中でも血液浄化業務関連が一番多く8割以上の技士がこの業務に携わっております。当院でも業務の中心は血液透析関連でその他人工呼吸器,除細動器,輸液ポンプ,人工呼吸器等の保守管理を行っております。
(18号より)